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音の栞(三善晃) [三善晃]

曲集名
ピアノ曲集 音の栞
作曲者
三善晃
出版
「ピアノ曲集 音の栞」(カワイ出版)
CD

 

三善さんの作品は,フランス風の響きと,日本風の旋律が融合されているように感じます。
曲は大変ピアニスティックで,一見すると難しそうでも,
弾いてみると,よく手に馴染んで,心地よく弾ける曲が多いです。
「音の森」に比べると,演奏レベルが高く,曲想も少し大人びた感じのものが多いですが,
三善晃さんの作品の魅力である,美しいメロディ,透明感のある和声,
切なさとノスタルジーに満ち溢れた,素敵な曲集となっています。
生徒にはポリフォニックなものの練習として与えてもいいでしょうし,
大人の方が演奏会のプログラムに入れても素敵だと思います。
「兄さんのポケット」&「妹のポケット」,「うたう鏡」&「うたう窓」など,
対になっているような作品もあるので,発表会などでは,2曲弾くと素敵かもしれません。

《楽譜》

ピアノ曲集 音の栞

ピアノ曲集 音の栞

  • 作者: 三善 晃
  • 出版社/メーカー: 株式会社河合楽器製作所・出版事業部
  • 発売日: 1998/12/10
  • メディア: 楽譜


曲名
レベル
演奏時間
調
解説・演奏のヒント
1
小さい舟唄
B
1:10
A dur

Andantino

息の長いフレーズをキレイに歌わせたい。ペダルは作曲者の指示に従って。特に9~10小節は指示通りに踏むとバスが美しく聴こえます。

2
おはよう ヤマガラ
B+ 0:40
C dur
楽しい曲ですが,リズムの習得がやや難。
3
さよなら の まえに
B 1:30
e moll

Andantino

切なく美しいメロディ。情感を込めて丁寧に弾きたい。完全なレガートが要求されます。

4
兄さんのポケット
B+1:00
fis moll
次の「妹のポケット」と対になっています。懐かしい感じのする作品。右手テヌート&スタッカートを大切に。兄が妹に何か問いかけるようなイメージでしょうか。
5
妹のポケット
B+
0:55
c moll
前の「兄さんのポケット」と組み合わせて弾きたい曲。夕陽の中を兄と妹が家路に着く,という光景が浮かびました。ジグザグに進むメロディが印象的です。左手の重音は指使いをよく考えて。
6
しゃっくり ひくひく
B0:35
H dur

Allegretto

ユーモラスで楽しい一曲。リズムや3度,4度の多用が意外に難しい。

7
あやとり
B+
0:50
fis moll
細やかなアーティキュレイションを丁寧に読み取って。
8
水玉ぶくぶく
B 0:55
F dur

Moderato

左右のリズムの掛け合いと手の交差が楽しい曲。この8分音符と4分音符の組み合わせのリズムが「ぶくぶく」を表しているようですが,あまりガツガツ弾かずに,なめらかな演奏の方がよいでしょう。

9
風さんに さそわれて
B+ 0:45
G dur

Allegretto

スタッカートとレガートを弾き分けて。16分音符の続く箇所はふんわりと風に乗って漂うような,美しく柔らかなレガートで弾きたい。

10
うたう鏡
B 1:00
c moll

Andante

カノン風に始まります。左手の重音音階奏をよくさらって。次の「うたう窓」と対になっています。

11
うたう窓
B 1:20
B dur

Andante

前の「うたう鏡」と対になっています。こちらは右手に重音音階奏が組み込まれています。

12
ルフラン
B++ 0:55
b moll

Tempo di Minuett

内声に1の指の連続は,でこぼこしないようになめらかに動かします。フランス風の響きがするお洒落なメヌエットです。洗練されたタッチをお勉強しましょう。

13
話したいこと・たくさん
B++ 1:20
Des dur
タイトルの通り元気な曲。♭5個の変ニ長調なので最初譜読みに抵抗があるかもしれないが,慣れるとよく手にハマります。テクニックの課題としては左右の交差など。
14
話せないこと・すこし
B++ 1:10
cis moll
前の曲と組み合わせて演奏するとよいでしょう。静かにお話をするように。メロディの美しい曲。
15
しずく の すだれ
B1:10
g moll
「しずくのすだれ」・・屋根を伝って落ちて来る雨の雫がすだれのように見える様子を描いたのでしょうか。不思議な雰囲気の曲です。
16
しずく の カーテン
B
1:30
E dur
こちらは前の曲とは印象が変わって,雨を楽しんでいる感じ。繰り返されるリズムが耳に残る曲です。
17
かえりみち
B
0:50
g moll
ちょっとメランコリックな素敵な曲です。重音を美しく。
18
シシリエンヌ
B+
1:30
e moll
3部形式。右手の3度重音の練習曲。短い中間部のあと,主部が再現されます。右手はほぼ前半と同じですが,左手が細かい16分音符となりメロディを彩ります。
19
お兄さん金魚、ごきげん
B++
1:15
As dur

Allegretto

ユーモラスな楽想でピチピチと跳ねる金魚が可愛らしく表現されています。次の「いもうと金魚・・」と組み合わせて弾くと良いでしょう。

20
いもうと金魚、めそめそ
B
1:10
cis moll

Andantino

メロディの切なく美しい曲。テクニック的には曲集の中では弾きやすく楽譜も読みやすい方です。

21
両手の風ぐるま
B+
2:15
G dur
風ぐるまは回り続けるのではなく,くるくる回っては止まり,また回り・・を繰り返しているような感じ。独特のリズム感を生かして。
22
バガテル
B++
1:10
As dur
優しい穏やかな音楽。左手の3度重音で半音階で下降する箇所があります。指使いを身に付けましょう。
23
山は雪、里は花
B++
1:35
f moll
タイトルから想像される景色を描いた絵画風の作品。下降するパッセージは,雪や花が舞い落ちるように。
24
水泡の初恋い (みなわのはつこい)
B++ 1:00
cis moll

Andantino

生まれてはすぐに消えてしまう,はかない水の泡が恋をする,という切ない気持ちを丁寧に表現したい作品。「水泡」という言葉は「海の日記帳」でも使われていますが,三善先生のお好きな言葉なのかもしれません。

25
ファの波の穂
C
1:00
b moll

Allegretto

テクニックもやや高度なピアニスティックな一曲。「ファ」の音にはきちんと意味を持たせて,リズミカルに弾きましょう。



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